2016年8月4日木曜日

【コラム】『ゲーミフィケーションで「動物たち」の「神」をよみがえらせる』

『ゲーミフィケーションで「動物たち」の「神」をよみがえらせる』
これだけ書くと気がふれたか酔っ払っているように見えますが、一応ビジネスの提案の根幹の部分です。
また信心深い人からは怒られそうなのでできるだけ分かりやすく書きます。



現代はいかなる時代か?
現代は「動物」の時代である。

  • 理想の時代
  • 夢の時代
  • 虚構の時代
  • 動物の時代、または不可能性の時代



社会学者の見田宗介によると「現実」という語は3つの反語を持ちます。
「理想」、「夢」、「虚構」。
見田はこの「現実」の3つの反語に基づき戦後の日本社会を3つの時代に区分しました。
1945年から1960年は理想の時代。
1960年から1975年は夢の時代。
1975年から1990年は虚構の時代。

見田の弟子である、社会学者の大澤真幸は1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件を「虚構の時代の果て」と表現し、虚構の時代の後を「不可能性の時代」と呼びました。

また、見田と大澤の論を受けて評論家の東浩紀は虚構の時代の後を「動物の時代」と呼びました。
動物の時代とはどんな時代でしょうか。
虚構の時代に象徴的なキャラクターとしてオタクを挙げることができます。虚構の時代のオタクの行動原理は「物語消費」であり、作品として可視化している背後に見えない「大きな物語」を想定します。これを指摘したのは評論家の大塚英志です。
動物の時代のオタクの行動原理は「データベース消費」であり、背後に見えない「大きな物語」を想定しません。東の言う動物の時代は、萌え要素に強い刺激を求めてハマる動物としての人間の側面を捉えています。

他の言葉で現代を表すなら「脱魔術化」(ウェーバー)、「再帰的近代」(ギデンズ)、「リスク社会」(ベック)、「大きな物語の終焉」(リオタール)、「神は死んだ」(ニーチェ)とも言い換えることが出来ます。


では死んだ神をいかに蘇らせるか?
少し回り道をしましょう。
宗教の機能的本質は何でしょうか。

大澤と同年代の社会学者、宮台真司によると「宗教の機能的本質は前提を欠いた偶発性を無害なものとして受け入れる装置」です。平たく言うと突然振りかかる不幸によるショックや、なかなか受け入れることが出来ないことを受け入れることが出来るようにする枠組みです。宮台によると、経典の有無などは関係がありません。
だとすると、表面上は何であれ前提を欠いた偶発性を無害なものとして受け入れる装置を作ればそれは宗教と機能的等価性を持つということが出来ます。

この装置に名を与えるとしたら、それは神をよみがえらせたに等しいと言えると僕は考えます。

さて、そんな装置をどうやって造るのか。なぜゲーミフィケーションがいいのか。

それは後日、書きたいと思います。

2016年7月21日木曜日

【草稿】第一章No.3 から5

第一章の3から5の草稿をアップします。
記事として清書出来れば、草稿は削除します。



基礎問題Q3
3.キャッシュフロー計算書(CF)で、優良安定企業の典型的なパターンを挙げよ。


キャッシュフロー計算書で優良安定企業の典型的なパターンは、営業活動によるキャッシュフローがプラス、投資活動によるキャッシュフローがプラス、財務活動によるキャッシュフローがマイナスです。

もちろん例外もありますが、優良安定企業はこの典型的パターンを長期的には示します。

ではなぜそのようなパターンがあるのかを見ていきましょう。
キャッシュフロー計算書は企業の現金の流れを表しています。損益計算書では売掛が発生したり、売上高に対応する仕入在庫のみが売上原価として費用計上される仕組みであるため、実際の現金および現金同等物の流入・流出が見えません。この流入・流出を見るためにキャッシュフロー計算書はあります。

あえて単純化すると下記の判別方法があります。

営業キャッシュフローがプラス=本業の営業活動でキャッシュを稼げている。
営業キャッシュフローがマイナス=本業の営業活動でキャッシュが稼げていない。

投資キャッシュフローがプラス=本業以外の投資活動でキャッシュを稼いでいる。
投資キャッシュフローがマイナス=将来の本業の営業活動のために先行して投資している。

財務キャッシュフローがプラス=外部からの資金調達を行っている。
財務キャッシュフローがマイナス=借金を返済したり、配当を支払っている。


優良安定企業の典型的なパターンは

営業キャッシュフローがプラス=本業の営業活動でキャッシュを稼げている。
投資キャッシュフローがプラス=本業以外の投資活動でキャッシュを稼いでいる。
財務キャッシュフローがマイナス=借金を返済したり、配当を支払っている。

ということで、投資をあまりせずとも安定して本業が儲かっており、順調に借金を返済しているということなのです。なお、投資キャッシュフローがマイナスであっても、業界の競争環境によってはどんどんと投資をしていかないと取り残される業界もあるため、一概に判別は出来ない部分もあります。

成長企業は投資にまだ力を入れている様子がキャッシュフロー計算書から見えます。

また苦しい企業は本業が儲からず自転車操業に陥っているのが見えてきます。
さて次回は「儲かるプラン」とは何かを考えてみましょう。


基礎問題Q4
4.お客様に「儲かるプラン」を提案するとき、儲かるとは何を指しているか。それはなぜか。

僕は営業マンなのでお客様に「儲かるプラン」を提案します。しかし、この時の「儲かる」は数年前まで非常に曖昧なものでした。また、お客様がBtoCBtoBBtoGいずれの形態かで変わってきます。

まずBtoBに限定して考えてみます。「儲かるプラン」とは多くの場合、短期的に営業利益を向上させることを指していると僕は考えます。より踏み込んだ提案であれば損益計算書ではなく、貸借対照表に深く関わる提案もあり得ますがよりハードルは高いものになります。

BtoCでも類似していますが、節約出来たり、投資によりリターンが期待出来たりといった金銭的なものだけでなく、時間の節約やより広義の「お得感」の訴求もあり得ます。

BtoGは法や慣習などの意思決定者の外部要因が大きいので別途考慮が必要だと思います。

BtoBであっても営業の実際はお客様の状況や要望、潜在的なニーズによって提案は変わってくるでしょう。しかし、会計で考えるともう少し単純化出来ると僕は考えます。

例えば、顧客に車で配送をする企業(ネットスーパーなどが想像しやすいかもしれません)に対して「配車計画システム」を提案する場合は、車や運転手などの有限の資産の回転率を高めることで人件費やガソリンを節約しつつ顧客満足度も向上し、営業利益と営業キャッシュフローを向上させます。

別の例では、エリアマーケティングシステムで店舗の統廃合を行うことで固定資産を現金化し、経常利益を増加させます。また現金を効率的な店舗や事業に再配分することで回転率を高め、1店あたりの売上増加、人件費の削減などで営業利益と営業キャッシュフローを向上させます。

もっと別の図式はないか考えました。営業利益方程式というものがあります。これは営業利益を左右する要素をツリー状に分解したものです。これらの1つまたは複数要素を改善するというのも「儲かるプラン」と言えそうです。

また「見えざる資産」や「人」と財務諸表の外に書いたものも会計にもっと詳しい人であれば総資産の内訳として「無形資産」(のれんなど)に組み込むほうが正確かもしれませんね。

さて次回は労働生産性について考えてみましょう。

基礎問題Q5
5.労働生産性について、営業利益ベースのものと、付加価値ベースのものの違いは何か。また時間あたりの労働生産性(営業利益ベース)を指標として重視する場合、行うべき残業のパターンを挙げよ。



まず付加価値と営業利益の違いを考えます。

付加価値は営業利益と人件費と減価償却費を足してものと言えます。正確には付加価値の算出方法はいくつかありますが、ここではざっくりと考えます。

また「付加価値」という言葉は会計の定義以外にも「本来の機能とは違った、追加の機能による価値がある」状態を指すこともあります。むしろこの意味で使われることのほうが多いような気もしますが、今回は会計なので一旦は、置いておきます。


営業利益は売上総利益から販売費および一般管理費を引いたものです。営業利益には人件費は含みません。

人件費を含む付加価値と、人件費を含まない営業利益どのような使い方になるでしょうか。

例えばGDPは「国内で新たに生産されたモノやサービスの付加価値の総額」であるため、GDPを増やすという目的に対しては、人件費を削減するという手段は控えるべきかもしれません。少なくとも人件費を削減した分、削減に貢献した機械やサービスに対して対価を払わないとGDPは下がっていきます。個々の企業で見た時は人件費の削減は営業利益を向上させることもありますが、GDPや景気の面など国レベルのよりマクロな状況ではマイナス面を持ちます。

では「労働生産性」に進みましょう。「労働生産性」は多くの場合、付加価値を従業員数で割ったものを指します。問題文には「時間あたりの労働生産性(営業利益ベース)」とありますので、営業利益を従業員全員の投入時間数で割ったものを指します。時間あたりの利益を考える方法として、スループット・ダラー・デイズなどもありますが第三章で紹介出来ればと思います。

時間あたりの労働生産性(営業利益ベース)で見ると行うべき残業は限られます。

営業利益が増加する(短期/長期)
今後の投入時間が減少する(仕組み作り)
クレーム等から売上減少を食い止める

これを見ると日本の長時間労働やブラック企業問題、ブラックバイト問題はどのような問題点を内包しており、どこから解きほぐすべきか糸口が見えた気がするのは僕だけでしょうか。

ただし、あくまで1つの指標で見た場合であって、絶対的な正しさがあるわけではありません。



さて、次回はコラムを挟んで応用選択問題に入っていきましょう。応用の1つめは無借金経営を考えてみましょう。

2016年7月20日水曜日

第一章「会計と経営分析」No.2 「BSの3つの構成要素」

基礎問題Q2
貸借対照表(BS)の3つの大きな構成要素を挙げよ。

 第一章の初回に会計について問題文を出しました。今回も基礎問題から回答していきます。 

BSの構成要素「負債」、「純資産」、「総資産」

貸借対照表の3つの大きな構成要素は「負債」、「純資産」、「総資産」です。

それぞれをごく簡潔に説明します。

  • 負債は銀行等から借りたお金で、返済する義務があります。

  • 純資産は株主から集めたお金等で、返済の義務がありません。

  • 総資産は将来的に収益をもたらす価値のあるもので、負債と純資産を合計した額と等しくなります。

財務諸表の関係

 前回に損益計算書について、今回は貸借対照表について説明しています。それぞれの関係を図で見てみましょう。
 元となる図は小難しい会計の知識なんて不要! 経営分析の超入門講座 (金子 智朗)を参考に改変しました。 
 この図で分かることは損益計算書(PL)は前年と今年の2つの貸借対照表(BS)に挟まれています。このため財務分析でPLとBSの両方を使うときはBSは二期の平均の値を使います(が、急いでいるときは単年度のBSでも、参考値ぐらいは出ます)。
 また、総資産に記載できそうで出来ない要素として「見えざる資産」と「人」という概念があります。
 さて次回はキャッシュフロー計算書で見える優良安定企業のパターンを考えてみましょう。

【コラム】「機能の経営戦略論」と「機能−構造主義の社会システム論」

 神戸大学の三品和広教授は、著書『戦略不全の論理』(2004年)で過去の経営戦略論に名前をつけて整理している。例えばアンゾフ(1965)の市場マトリックスの手法などに関する主張を「計画の戦略論」、ポーター(1980)の5フォース分析や産業構造論を「構造の戦略論」としている。三品先生は『戦略不全の論理』で展開している自身の戦略論に名前をつけて整理していないが、僕は同じ命名規則をとって「機能の戦略論」と命名したい。また、三品先生が『モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法 センサーネット構想』(2016)などで展開している戦略論にも、僕は同じ命名規則をとって「次元の戦略論」と命名したい。


 「機能の戦略論」とは何か。三品先生の着想の優れた点の1つであるが、戦略を実際に存在するかどうか特定できないものとし、「戦略が機能しないのはなぜなのか、機能しない戦略とは何なのか、それを問う」(三品、『戦略不全の論理』2004年、はしがきより)。この「機能」が指し示すものに、社会学をやっていた僕には既視感がある。この「機能」は、ニクラス・ルーマンが展開している「機能-構造主義」の社会システム論における「機能」と相似形である。ルーマンの社会システム論の特徴を明かし、さらに「機能の戦略論」との相似形を示すほどに両者を抽象化して並べるには若干の紙幅が必要なので、ここでは類似性を示唆するに留めたい。
 自説の展開は第二章以後で。

2016年7月17日日曜日

第一章「会計と経営分析」No.1 「5つの利益」

基礎問題Q1
企業会計の損益計算書(PL)において、5つある利益を上から順に挙げよ。
ヒント:日本オラクル等の輸入ソフト会社の損益計算書などを参考にしても良い。(筆者は輸入ソフトの会社に勤務しています)


 第一章の初回に会計について問題文を出しました。今回は基礎問題から回答していきます。

損益計算書の大まかな構造
 まず、損益計算書の大まかな構造を見てみましょう。

 

損益計算書の5つの利益
 売上総利益(粗利)、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の5つです。

 それぞれ基礎的な概念から足し算、引き算で求められるものです。


  • 売上総利益(粗利)
  • 売上総利益=売上-原価


  • 営業利益
  • 営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費


  • 経常利益
  • 経常利益=営業利益+営業外利益-営業外費用

  • 税引前当期純利益
  • 税引前当期純利益=経常利益+特別収益-特別損失

  • 当期純利益
  • 当期純利益=税引前当期純利益-法人税等


 上記の5つ以外の利益も挙げることは出来ますが、あまり一般的ではありませんし、損益計算書に表立って出てきません。例えば、限界利益など。

 また、考え方によっては「売上」を「利益」の1つと考えることも不可能ではありません。ときにはなぜあなたはそのように思ったのかを議論することは重要ですが、今回の回答としては上に挙げた5つが僕の答えです。「売上」(「収入」または「収益」)から「費用」を引いたものが「利益」と定義できます。どこまでを「費用」とみなすかでこれらの5つの「利益」が現れるということができると思います。
 さて次回は貸借対照表の3つの大きな構成要素を考えてみましょう。

2016年7月9日土曜日

第一章「会計と経営分析」No.0 「会計を学ぶ意義」

基礎問題No.0
あなたが会計について学ぶことの意義について、簡潔にあなたの意見を述べよ。

 前回は会計について問題文を出しました。今回は基礎問題から回答していきます。
   会計を学ぶ意義は2つに分解できます。1つは「人間が基礎的な学習をし続ける意義」です。もう1つは「ビジネスマンが会計を学ぶ意義」です。


「人間が基礎的な学習をし続ける意義」
 人間が基礎的な学習をし続ける意義は古くはギリシア哲学の時代から考えられてきました。有名な話ですが、一般的な教養は「人を自由にする技術」と考えられ、「リベラル・アーツ」と呼ばれます。僕の時代では大学に入学し、一般教養の授業を受けるときにはこの話があったと思いますが、今はどうでしょうか。
 裏を返せば(厳密に「裏」なのか、「逆」なのか、「対偶な」のかは僕もよく考えてみます)、人間は一般的な教養を身につけない限り自由にはなれない、奴隷のまま、家畜と同じなのだと僕は考えます。
 ギリシアの哲学者ソクラテスはこう言ったそうです。「無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり」と。現代風に意訳すると、「無知な状態のままでいることは犯罪的だ。しかし、知識ばかりの頭でっかちの奴になるな。知識だけにとどまらず実践し、知恵をつけて社会の役に立ちなさい」。さらに僕は営業マンなので会社の同僚との勉強会でこう意訳しました。「会計・数字の知識がない営業マンはアカン。でも、知識だけではアカン。営業マンたるもの受注して会社の実績に貢献せよ」と。

「激動の時代に人は輝く」
 古代ギリシアではなく、現代の日本だとどうでしょうか。政治学者の小室直樹先生は「激動の時代に人は輝く」と考えていました。僕は小室先生には、直接お会いしたことはありませんが、小室先生の弟子である宮台真司先生の講義を受けたことがあります。宮台先生が日本の将来を心配すると、小室先生は「激動の時代に人は輝く。心配ない」とおっしゃったといいます。どういう意味でしょうか。普段は社会の仕組みや制度の寿命は、人の寿命を遥かに超えているため、人は社会の仕組みや制度に縛られています。しかし、社会の仕組みや制度が古くなり寿命を迎えると、可塑的で柔軟な存在である人が輝きを持ち社会の仕組みや制度を変えていくのです。
 僕がこの話を講義で宮台先生からお聴きしたとき、小室先生はまだご存命でした。20109月、僕は政治学の塾「咢堂塾」に通っており宮台先生の特別講義を楽しみにしていました。この講義には遠くは沖縄や九州から東京の永田町に通っていた同期もいました。しかし、この日に小室先生がお亡くなりになり、宮台先生は通夜の準備を取り仕切り、講義は中止となってしまいました。
 小室先生のお考えに、前提があると僕は考えています。人は可塑的で柔軟であるけれども知識は必須で、しかも実践し知恵を持っている人でないといざというときに輝いて社会に役立つことはできない、と。
 僕が子どもにこうやってテキストを書いてまで、僕が死んだとしても教えることができる体制作りにこだわるのはこのような背景があるからです。

「ビジネスマンが会計を学ぶ意義」
 もう1つのビジネスマンが会計を学ぶ意義も考えてみます。僕はこう考えます。「会計はビジネスの共有言語である」、「会計は起こったことを正しく記録し、説明する」と。教科書的には会計は以下の3つに区分できます。「財務会計」、「管理会計」、「税務会計」です。

「財務会計」、「管理会計」、「税務会計」
 「財務会計」は株主、投資家、取引先などに正しく伝えるためにあるものです。
 「管理会計」は経営者、管理者、現場が正しく判断するためにあるものです。
 「税務会計」は納税と節税を正しく行うためにあるものです。
 僕は税務会計を教える力量はありませんので、財務会計と管理会計のごく一部を今後、書いていきます。

複式簿記は大航海時代に生まれた
 有名な話ですが複式簿記は大航海時代(1450年ごろ〜)に生まれたという説があります。貴族などから出資をつのり、装備や食料を整え、数年後に戻ってきて航海の利益を確定する「経営」を記録するには、それ以前の単式簿記ではなく、複式簿記で記録する必要があったのです。
 複式簿記は500年ほどの歴史を持つことが分かります。このことは第二章の「経営戦略」にも若干の関連がありますので改めて記載します。


 ここまで読んで分かるとおり、僕が考える「会計を学ぶ意義」は「人間が基礎的な学習をし続ける意義」 と「ビジネスマンが会計を学ぶ意義」 に分かれるなかで、随分と1点めの「人間が基礎的な学習をし続ける意義」に偏っています。また社会の仕組みや制度を人が作り変えていくことについては第三章で少しだけ触れたいと思います。第三章を書き終えて、僕がまだ健康だったら第五章あたりで書きたいとも思います。
 では次回は損益計算書の5つの利益を考えてみましょう。

第一章「会計と経営分析」問題文

 「はじめに」で書いたとおり、このブログは僕の子どもに将来教えたいことを書いていきます。
 予定では第一章「会計と経営分析」、第二章「経営戦略」、第三章「全体最適と制約」です。力点は第三章にありますが、それらを教えるにはまず会計や経営戦略の知識を教えないといけません。
 下記に問題を出します。基礎問題の全てについて自分なりの答えを出して下さい。応用問題についても出来るだけ答えを出して下さい。期限は1週間。
 問題の中には正解が1つではないものが含まれます。


【基礎問題】

0.あなたが会計について学ぶことの意義について、簡潔にあなたの意見を述べよ。

1.企業会計の損益計算書(PL)において、5つある利益を上から順に挙げよ。
ヒント:例えば、日本オラクル等の輸入ソフト会社の損益計算書などを参考にしても良い。(筆者は輸入ソフトの会社に勤務しているため)

2.貸借対照表(BS)の3つの大きな構成要素を挙げよ。

3.キャッシュフロー計算書(CF)で、優良安定企業の典型的なパターンを挙げよ。

4.お客様に「儲かるプラン」を提案するとき、儲かるとは何を指しているか。それはなぜか。

5.労働生産性について、営業利益ベースのものと、付加価値ベースのものの違いは何か。また時間あたりの労働生産性(営業利益ベース)を指標として重視する場合、行うべき残業のパターンを挙げよ。


【応用選択問題】

6.無借金経営のメリットとデメリットを挙げよ。

7.自己資本利益率(ROE)の構成要素を3つ挙げて、それぞれの改善策を簡潔に述べよ。
ヒント:デュポンシステムの方式

8.ソフトウェア企業において、検収が完了した受託開発費は、会計処理上はどの項目になるのか。

9.企業において会計の意義は何か。

10.あなたの夢やビジョン(仕事に限らない)を会計の言葉を使って自由に述べよ。


 どうですか。答えは出ましたか。では僕は僕なりの答えを用意しています。簿記などの資格試験では一意の答えが用意されていますが、ここでの問題は一意の答えを暗記するより、問題に対峙したとき「俯瞰し」または「寄り添い」、あるいは「いなす」方法を身につけてもらいたいと考えています。
 では次の記事から問題文を1つ1つ見ていきましょう。次回は会計を学ぶ意義を考えてみましょう。