基礎問題No.0
あなたが会計について学ぶことの意義について、簡潔にあなたの意見を述べよ。
前回は会計について問題文を出しました。今回は基礎問題から回答していきます。
会計を学ぶ意義は2つに分解できます。1つは「人間が基礎的な学習をし続ける意義」です。もう1つは「ビジネスマンが会計を学ぶ意義」です。
会計を学ぶ意義は2つに分解できます。1つは「人間が基礎的な学習をし続ける意義」です。もう1つは「ビジネスマンが会計を学ぶ意義」です。
「人間が基礎的な学習をし続ける意義」
人間が基礎的な学習をし続ける意義は古くはギリシア哲学の時代から考えられてきました。有名な話ですが、一般的な教養は「人を自由にする技術」と考えられ、「リベラル・アーツ」と呼ばれます。僕の時代では大学に入学し、一般教養の授業を受けるときにはこの話があったと思いますが、今はどうでしょうか。
裏を返せば(厳密に「裏」なのか、「逆」なのか、「対偶な」のかは僕もよく考えてみます)、人間は一般的な教養を身につけない限り自由にはなれない、奴隷のまま、家畜と同じなのだと僕は考えます。
ギリシアの哲学者ソクラテスはこう言ったそうです。「無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり」と。現代風に意訳すると、「無知な状態のままでいることは犯罪的だ。しかし、知識ばかりの頭でっかちの奴になるな。知識だけにとどまらず実践し、知恵をつけて社会の役に立ちなさい」。さらに僕は営業マンなので会社の同僚との勉強会でこう意訳しました。「会計・数字の知識がない営業マンはアカン。でも、知識だけではアカン。営業マンたるもの受注して会社の実績に貢献せよ」と。
「激動の時代に人は輝く」
古代ギリシアではなく、現代の日本だとどうでしょうか。政治学者の小室直樹先生は「激動の時代に人は輝く」と考えていました。僕は小室先生には、直接お会いしたことはありませんが、小室先生の弟子である宮台真司先生の講義を受けたことがあります。宮台先生が日本の将来を心配すると、小室先生は「激動の時代に人は輝く。心配ない」とおっしゃったといいます。どういう意味でしょうか。普段は社会の仕組みや制度の寿命は、人の寿命を遥かに超えているため、人は社会の仕組みや制度に縛られています。しかし、社会の仕組みや制度が古くなり寿命を迎えると、可塑的で柔軟な存在である人が輝きを持ち社会の仕組みや制度を変えていくのです。
僕がこの話を講義で宮台先生からお聴きしたとき、小室先生はまだご存命でした。2010年9月、僕は政治学の塾「咢堂塾」に通っており宮台先生の特別講義を楽しみにしていました。この講義には遠くは沖縄や九州から東京の永田町に通っていた同期もいました。しかし、この日に小室先生がお亡くなりになり、宮台先生は通夜の準備を取り仕切り、講義は中止となってしまいました。
小室先生のお考えに、前提があると僕は考えています。人は可塑的で柔軟であるけれども知識は必須で、しかも実践し知恵を持っている人でないといざというときに輝いて社会に役立つことはできない、と。
僕が子どもにこうやってテキストを書いてまで、僕が死んだとしても教えることができる体制作りにこだわるのはこのような背景があるからです。
「ビジネスマンが会計を学ぶ意義」
もう1つのビジネスマンが会計を学ぶ意義も考えてみます。僕はこう考えます。「会計はビジネスの共有言語である」、「会計は起こったことを正しく記録し、説明する」と。教科書的には会計は以下の3つに区分できます。「財務会計」、「管理会計」、「税務会計」です。
「財務会計」、「管理会計」、「税務会計」
「財務会計」は株主、投資家、取引先などに正しく伝えるためにあるものです。
「管理会計」は経営者、管理者、現場が正しく判断するためにあるものです。
「税務会計」は納税と節税を正しく行うためにあるものです。
僕は税務会計を教える力量はありませんので、財務会計と管理会計のごく一部を今後、書いていきます。
複式簿記は大航海時代に生まれた
有名な話ですが複式簿記は大航海時代(1450年ごろ〜)に生まれたという説があります。貴族などから出資をつのり、装備や食料を整え、数年後に戻ってきて航海の利益を確定する「経営」を記録するには、それ以前の単式簿記ではなく、複式簿記で記録する必要があったのです。
複式簿記は500年ほどの歴史を持つことが分かります。このことは第二章の「経営戦略」にも若干の関連がありますので改めて記載します。
複式簿記は大航海時代に生まれた
有名な話ですが複式簿記は大航海時代(1450年ごろ〜)に生まれたという説があります。貴族などから出資をつのり、装備や食料を整え、数年後に戻ってきて航海の利益を確定する「経営」を記録するには、それ以前の単式簿記ではなく、複式簿記で記録する必要があったのです。
複式簿記は500年ほどの歴史を持つことが分かります。このことは第二章の「経営戦略」にも若干の関連がありますので改めて記載します。
ここまで読んで分かるとおり、僕が考える「会計を学ぶ意義」は「人間が基礎的な学習をし続ける意義」 と「ビジネスマンが会計を学ぶ意義」 に分かれるなかで、随分と1点めの「人間が基礎的な学習をし続ける意義」に偏っています。また社会の仕組みや制度を人が作り変えていくことについては第三章で少しだけ触れたいと思います。第三章を書き終えて、僕がまだ健康だったら第五章あたりで書きたいとも思います。
では次回は損益計算書の5つの利益を考えてみましょう。
では次回は損益計算書の5つの利益を考えてみましょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿